ご家族と専門家が相談するシーン

「相続でもめるのはお金持ちの家庭だけ」と思われがちですが、実際には財産が少ない家庭ほど、不動産1件を巡って兄弟で争うケースが多いのが実情です。本コラムでは、揉めやすい家庭の特徴と予防策を解説します。


揉めやすい家庭に共通する特徴

  • 財産のほとんどが「実家(不動産)」で、分けにくい
  • 同居していた子とそうでない子がいる
  • 生前の援助(特別受益)に差がある
  • 親の介護を特定の子だけが担っていた
  • 兄弟間の関係が、もともと疎遠・複雑だった
  • 「うちは大丈夫」と、生前に何も話し合っていなかった

財産額の大小よりも、「不動産中心で分けにくい」「感情的な蓄積がある」ことの方が、トラブルの主な原因になります。


典型的なトラブルの流れ

  1. 親が亡くなり、実家の分け方を話し合う
  2. 「同居していたのだから多くもらって当然」「介護は私がした」といった主張が出る
  3. 感情的な対立に発展し、話し合いが止まる
  4. 不動産が「共有名義」のまま放置される
  5. 共有名義のまま次の世代に相続が発生し、権利関係がさらに複雑化する
必要書類を並べたイメージ

予防のためにできること

生前にできること

  • 遺言書を作成し、分け方をあらかじめ決めておく
  • 実家を「売る・貸す・残す」の方向性を家族で話し合っておく
  • 特定の子への援助や介護の負担を、他の相続人にも共有しておく

相続発生後にできること

  • 不動産は共有名義のまま放置しない(売却・単独取得+代償金など具体的な出口を決める)
  • 感情的な話し合いを避け、第三者(専門家)を交えて進める


共有名義がもたらす具体的な弊害

実家を「とりあえず法定相続分で共有」にしたケースで考えます。相続人が3兄弟の場合、売却するには3人全員の実印・印鑑証明書が必要になります。一人でも連絡が取れない、あるいは反対すれば、売却も賃貸も建て替えもできません。固定資産税は代表者が立て替えて後から精算するのが一般的ですが、これ自体もトラブルの種になりがちです。

遺産分割調停に至った場合の流れ

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所での遺産分割調停に進みます。調停委員を交えて話し合いを行い、それでも合意できなければ審判(裁判官による判断)に移行します。調停・審判には数か月から1年以上かかることもあり、その間、財産は動かせないままになります。


生前にできる遺言以外の対策

遺言書の作成に加えて、生前贈与で実家の持分を段階的に移す方法や、家族信託で実家の管理・処分権限を特定の子に一本化する方法も有効です。特に、将来判断能力が低下する可能性を考えると、遺言だけでなく家族信託を組み合わせることで、「誰が」「いつ」不動産を動かせるかを明確にしておくことができます。

また、実家の売却代金の使い道(老人ホームの入居費用に充てる等)まで生前に決めておくことで、相続人同士が「親の意思」を根拠に納得しやすくなるという効果もあります。


「争族」を防いだ実例に見る共通点

トラブルを避けられた家庭に共通するのは、親が元気なうちに、実家の将来について家族全員で一度は話し合っているという点です。結論が出なくても、「みんなが同じ情報を共有している」状態を作っておくだけで、いざという時の心理的な抵抗感が大きく下がります。逆に、何も話し合わないまま相続が発生すると、「知らなかった」「聞いていない」という不信感がトラブルの引き金になりやすい傾向があります。

専門家を交えるメリット

家族だけで話し合うと、過去の感情的なわだかまりが議論に持ち込まれやすいものです。第三者である専門家が間に入ることで、「財産の話」として冷静に整理しやすくなるという効果があります。

相続問題と木の家の模型

よくある質問

Q. 実家を共有名義のままにしておくと、何が問題ですか?

A. 売却や活用に全員の同意が必要になり、誰か一人でも反対すると身動きが取れなくなります。次の相続でさらに共有者が増え、収拾がつかなくなるケースも多くあります。

Q. 生前に何も準備していない場合、まず何をすべきですか?

A. まずは財産(特に不動産)の一覧化と、家族間での希望のすり合わせから始めることをおすすめします。


せと行政書士事務所ができること

せと行政書士事務所では、生前の遺言作成による予防から、相続発生後の遺産分割協議の整理まで、状況に応じたサポートを行っています。

執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)

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投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。