家族信託を相談したいけれど、何から準備すればいいか分からないという声をよく聞きます。事前にいくつかの情報を整理しておくと、相談がスムーズに進みますが、完璧に揃っていなくても相談は始められます。なお、家族信託では、事前に家族で話し合っておくことが、準備の中でいちばん大切です。
相談前に整理しておきたいこと
- 財産・負債の大まかな一覧:不動産、預貯金(金融機関名)、有価証券(証券会社名)、生命保険の契約内容、借入金の残高など。金額は概算で構いません。すべてを信託する必要はなく、信託の対象となる財産は相談しながら検討します
- 不動産に関する書類:登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産税の納税通知書(または固定資産評価証明書)。手元になければ、相談の際に取得方法も一緒に確認できます
- 家族構成:配偶者・子ども・きょうだいなど、誰が親族か分かる簡単な家族関係図
- 心配していること・実現したいこと:施設費用の管理、実家の売却、賃貸経営の継続など
- 現時点でのご本人の判断能力や健康状態:判断能力に不安があるかどうか
- すでにある対策:遺言書、任意後見契約、生命保険の受取人指定の有無

財産の名義を確認しておきましょう
不動産や預貯金などの財産が、実際に誰の名義になっているかを確認しておきましょう。特に不動産は、親が所有していると思っていても、亡くなった祖父母の名義のままになっているケースなどがあります。家族信託の設計は、誰がどの財産を所有しているのかが出発点になります。
事前に分かる範囲で教えていただきたいこと
信託を設計するうえで、次のような事情があるかどうかで、進め方が大きく変わります。
- 不動産が、きょうだいなど複数人の共有名義になっていないか(共有者の持分や、管理・処分の権限を確認する必要があります)
- 不動産にローンや抵当権が残っていないか(残っている場合は、借入先の金融機関に契約条件や信託の可否を事前に確認する必要があります)
- 賃貸中の物件がないか
- 農地が含まれていないか(農地は農地法の制限があるため、農地のまま家族信託することは原則として困難です。転用の可能性なども含めて個別に確認する必要があります)
- 株式や投資信託を、どの証券会社で保有しているか(信託に対応していない証券会社もあるため、事前確認が必要です)
家族で話し合っておくこと
家族信託では、財産を託す本人の意思が最も重要です。信託契約を結ぶために、ほかのきょうだい全員の同意が必ず必要というわけではありません。しかし、家族間で十分な理解が得られていないと、後々トラブルにつながることがあります。本人の意向を確認したうえで、必要に応じて家族にも説明し、理解を得ながら進めることが大切です。
完璧に準備できていなくても大丈夫
すべての書類がそろっていなくても、相談は可能です。「何が分からないか分からない」という段階からのご相談も、決して珍しくありません。まずは今の状況を話していただくことから始まります。

相談から契約・運用開始までの流れ
- 財産や家族の状況、ご希望の整理
- 信託の設計(誰を受託者にするか、何を信託するか、後継受託者をどうするかなど)
- 金融機関(信託口口座)への事前確認。ローンがある場合は、借入先にも相談します
- 信託契約書の作成・締結(実務上は、公正証書による作成をおすすめしています)
- 不動産の信託登記、信託口口座の開設
相談当日の流れの目安
- 現在の財産状況や家族構成のヒアリング
- 心配ごとや実現したいことの確認
- 家族信託が適しているか、他の制度(遺言や任意後見など)と組み合わせるべきかの整理
- 今後の進め方やおおよそのスケジュール、費用感のご案内
よくあるご相談の例
例えば、「家族信託というものがあるらしい」と聞いて、財産の一覧も何も準備しないまま相談に来られるケースがあります。お話を伺いながら、一緒に財産の状況や心配ごとを整理していくうちに、「施設費用の管理が目的だった」「実家の将来が心配だった」など、本当に必要な対策が見えてくることがあります。準備が整っていない段階からの相談でも、十分に進められます。
準備を先延ばしにしないほうがいい理由
財産の一覧や心配ごとの整理は、いつかまとまった時間ができたらやろうと後回しにされがちです。しかし、認知症などによって本人の判断能力が低下すると、家族信託の契約を結ぶことが難しくなる場合があります。将来の財産管理について選択肢を広く持つためにも、本人が元気なうちから準備を始めることが大切です。完璧な準備よりも、まず現状を話してみることの方が、結果的に早い解決につながります。
よくある質問
Q. 本人(親)が同席していなくても相談できますか?
A. 初回のご相談は、お子様など、ご家族だけでも可能です。ただし、実際に契約を進める段階では、委託者となるご本人の意思確認が必要です。ご本人の状況は、早めにお伝えください。
Q. 相談したら、必ず契約しないといけませんか?
A. そのようなことはありません。相談内容を踏まえて、ご家族で検討する時間を持っていただいて構いません。
Q. オンラインでの相談も可能ですか?
A. 対応可能です。遠方にお住まいのご家族が同席したい場合など、対面・オンラインを組み合わせてご相談いただくこともできます。
Q. 相談料はかかりますか?
A. 初回30分は無料でご相談いただけます。具体的な検討段階に進む場合の費用については、内容に応じてあらためてご案内します。
Q. 相談してから実際の契約まで、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 財産の内容や家族間の話し合いの進み具合によりますが、目安として数ヶ月程度かかることがあります。急ぎの事情がある場合は、その旨を相談時にお伝えください。
せと行政書士事務所ができること
「何から始めればいいか分からない」という段階でも、今の状況を丁寧にお伺いしながら、必要な準備を一緒に整理します。
まとめ
家族信託の相談は、完璧な準備がなくても始められます。財産の大まかな状況と、心配していることを整理したうえで、まずは相談してみることをおすすめします。
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執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
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せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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