高齢のご夫婦が専門家に相談するシーン

「まだ親が元気だから」と実家の売却を先延ばしにしていませんか?実は、不動産の売却タイミングとして最も良いのは「親が元気なうち」です。本コラムでは、その理由を解説します。


なぜ「元気なうち」が正解なのか

1. 判断能力があるうちしか、本人の意思で売却できない

認知症等で判断能力が低下すると、本人名義の不動産は、成年後見制度を使わなければ売却できなくなります。後見制度では、家庭裁判所の許可が必要になるなど、手続きが煩雑になります。

2. 建物・立地の価値が下がる前に動ける

空き家期間が長引くほど、建物は老朽化し、資産価値が下がっていきます。早めの決断が、高く売れるタイミングを逃さないことにつながります。

3. 相続発生後より手続きがシンプル

相続後の売却は、相続人全員の合意・相続登記など、手続きの負担が大きくなります。本人が元気なうちに売却すれば、これらの手間がかかりません。

スマートフォンで調べ物をするシーン

「まだ早い」と感じる場合の考え方

すぐに売らなくても、「将来的にどうするか」の方向性だけは元気なうちに決めておくことが重要です。

  • 将来、誰も住む予定がないなら早めの売却を検討
  • まだ判断がつかない場合は、任意後見契約や家族信託で「将来売却できる体制」だけ整えておく
  • 思い出のある家を「残したい」場合も、維持コストとのバランスを事前に話し合う

認知症になってからでは何が困るのか

  • 売却するには成年後見人の選任が必要(申立てから数か月かかる)
  • 後見人がついても、居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要
  • 本人保護の観点から、「相場より安くても早く売りたい」といった柔軟な対応が難しくなる


成年後見制度を使った売却の実際

判断能力が低下した後に不動産を売却するには、成年後見人を家庭裁判所で選任してもらう必要があります。申立てから選任まで数か月かかることが一般的で、さらに居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が別途必要です。「早く売りたい」という状況でも、手続き上のタイムラグは避けられません。

家族信託を使った場合の比較

家族信託を元気なうちに設定しておけば、受託者(子など)の判断で、家庭裁判所を介さずに売却を進めることができます。成年後見制度と異なり、「本人保護」の観点からの許可手続きが不要なため、市況に応じた機動的な売却判断がしやすいという特徴があります。


売却をためらう心理面への配慮

思い出のある実家を売ることには、金銭面だけでなく心理的な抵抗も伴います。「今すぐ売る・売らない」の二択ではなく、「将来的な方向性だけ決めておく」という緩やかな合意から始めるのも一つの方法です。

売却時の税金の特例

マイホームを売却した場合、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります(要件を満たす場合)。空き家となった実家についても、被相続人の居住用財産を売った場合の特例が使えることがあり、早期売却のメリットをさらに後押しします。

家の模型を持つ手とお金

よくある質問

Q. 家族信託を使えば、認知症になっても売却できますか?

A. はい。元気なうちに家族信託を設定し、受託者(子など)に売却権限を持たせておけば、本人の判断能力が低下した後でも受託者の判断で売却できます。後見制度より柔軟な対応が可能です。

Q. 親がまだ売却に前向きではありません。どう進めればいいですか?

A. 無理に売却を勧めるのではなく、「将来、判断能力が低下したときのために備えておく」という視点で家族信託等の制度を説明することをおすすめします。


せと行政書士事務所ができること

せと行政書士事務所では、不動産の売却タイミングのご相談から、家族信託・任意後見の設計までトータルでサポートしています。

関連ページ

執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)

「相続チェックリスト」を友だち追加特典でプレゼント中

今の準備状況が、チェックするだけでわかります

公式LINEに登録する

投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。