ご家族と専門家が相談するシーン

親と同居するために建てた二世帯住宅。実はこれが、相続の場面で予想外のトラブルを生むことがあります。本コラムでは、よくあるパターンと対策を解説します。


なぜ二世帯住宅で揉めるのか

  • 建築費用を誰がいくら負担したかによって、権利関係が複雑になりやすい
  • 同居していた子と、していない子との間で「不公平感」が生まれやすい
  • 物理的に建物を分割できないため、代償金での調整が必要になる
  • 小規模宅地等の特例の適用要件が、建物の構造(区分所有かどうか)で変わる

よくあるトラブル事例

事例1:建築費負担と相続分が一致しない

親が土地を提供し、同居する長男が建築費の大半を負担したケース。登記上の持分と実際の負担割合が異なり、他の兄弟から「不公平だ」と主張されることがあります。

事例2:小規模宅地等の特例が使えない

二世帯住宅でも、建物の構造や登記の仕方(区分所有登記になっているか等)によっては、特例の適用要件を満たさないことがあります。結果として想定より相続税が高くなるケースがあります。

事例3:同居していない兄弟が代償金を求める

建物を分割できないため、同居していた子が単独で相続する代わりに、他の兄弟へ代償金を支払う必要が生じますが、まとまった現金がなく支払えないケースがあります。

書類に押印するシーン

生前にできる対策

  • 建築時点で、費用負担割合と登記持分を一致させておく
  • 小規模宅地等の特例が使える建物構造・登記方法か、建築段階で税理士に確認しておく
  • 代償金の支払いに備え、生命保険等で納税・代償資金を準備しておく
  • 遺言で、同居する子に建物を相続させる旨を明確にしておく


小規模宅地等の特例と二世帯住宅の関係

二世帯住宅でも、建物内部が完全に独立していて「区分所有登記」がされている場合、同居とはみなされず特例が使えないことがあります。一方、区分所有登記をしていない共有登記であれば、同居親族として特例の対象になりやすいとされています。建築時の登記方法が、将来の相続税額を左右する重要なポイントです。

代償分割のための資金準備

建物を分割できない以上、同居する子が単独で相続する代わりに、代償金を他の相続人に支払う方法が一般的です。まとまった現金がない場合は、生命保険を活用して代償金の原資を準備しておくことが有効な対策になります。


建築前に決めておくべきこと

  • 建築費用の負担割合と、登記持分を一致させる
  • 将来の相続時、誰が建物を相続するかの大まかな方向性を話し合っておく
  • 小規模宅地等の特例の要件を満たす登記方法かどうか、税理士に確認する

「今の暮らしやすさ」だけでなく「将来の相続」まで見据えて設計することが、後々のトラブルを避ける最大のポイントです。


親世帯・子世帯それぞれの視点をすり合わせる

二世帯住宅の建築時は、親世帯は「終の棲家」、子世帯は「資産形成」という異なる視点を持っていることが多く、これが将来の認識のズレにつながります。建築段階で費用負担・将来の相続の両方について、親子で率直に話し合っておくことが何より重要です。

家族と高齢者、お金のイメージ

よくある質問

Q. 建築前に相談すべきですか?

A. はい。二世帯住宅は「建てた後」では調整が難しくなります。建築費用の負担割合を決める段階から、将来の相続を見据えて設計することをおすすめします。

Q. すでに建てた後でも対策できますか?

A. 遺言や生命保険を活用した代償金の準備など、今からできる対策はあります。まずは現状の権利関係を整理することから始めましょう。


せと行政書士事務所ができること

せと行政書士事務所では、二世帯住宅の相続を見据えた遺言作成、代償分割のご提案を行っています。建築前・建築後、どちらの段階でもご相談いただけます。

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執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)

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投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。