家計簿と電卓で計算するイメージ

「実家を今のうちに子どもへ贈与すべきか、相続まで待つべきか」。不動産オーナーからよく寄せられる質問です。本コラムでは、税金の観点から比較のポイントを解説します。


結論:一般的には「相続」の方が税負担は軽い

不動産取得にかかる税金だけを比較すると、生前贈与より相続の方が有利になるケースが多いのが実情です。理由は次の通りです。

  • 贈与税は相続税より税率が高く設定されている
  • 不動産取得税は贈与では課税されるが、相続では原則非課税
  • 登録免許税も贈与(2.0%)の方が相続(0.4%)より高い

それでも生前贈与が有効なケース

1. 将来値上がりが見込まれる不動産

将来価値が上がる見込みの不動産は、評価額が低いうちに贈与しておく方が有利になることがあります。

2. 特定の人に確実に、早期に渡したい場合

相続を待たず、生前に確実に特定の人へ承継させたい事情がある場合(事業用不動産の後継者への承継など)。

3. 相続時精算課税制度を使う場合

60歳以上の親から18歳以上の子・孫への贈与について、2,500万円まで贈与税がかからず、超えた分も一律20%となる制度です。2024年からは年110万円の基礎控除も別枠で使えるようになり、使い勝手が向上しています。

書類に押印するシーン

判断のポイント

  • 不動産の将来の値上がり見込み
  • 贈与税・不動産取得税・登録免許税を含めた総コストの比較
  • 相続時精算課税を使うかどうか(一度選択すると暦年贈与に戻せない点に注意)
  • 相続発生までの想定期間(高齢・持病の有無)

「贈与か相続か」は単純比較できず、個別の試算が不可欠です。



不動産取得にかかる税金の具体的な比較

贈与相続
不動産取得税課税される原則非課税
登録免許税固定資産税評価額の2.0%固定資産税評価額の0.4%
贈与税・相続税税率が高め基礎控除が大きく税率も緩やか

このように、取得に伴うコストの合計では、相続の方が有利になりやすいのが一般的な傾向です。ただし将来の値上がりが見込める不動産や、事業承継など早期に確実な移転が必要なケースでは、コストを払ってでも贈与を選ぶ判断もあり得ます。


値上がり資産の生前贈与が有利になる理由

贈与税・相続税は、贈与または相続が発生した時点の評価額で計算されます。将来値上がりが確実な不動産であれば、評価額が低いうちに贈与しておくことで、将来の値上がり分を非課税で移転できる効果があります。ただし将来の値上がりは確実ではないため、慎重な見極めが必要です。

おしどり贈与との比較

婚姻期間20年以上の夫婦間では、居住用不動産2,000万円までの贈与が非課税になる特例(おしどり贈与)があります。ただし、相続税の配偶者控除(1億6,000万円まで)の方が有利なケースも多く、単純にどちらが得とは言い切れません。個別の試算が必要です。

不動産の重要書類

よくある質問

Q. 自宅を配偶者に生前贈与するのは有利ですか?

A. 婚姻期間20年以上の夫婦間では、2,000万円までの居住用不動産の贈与が非課税になる特例(おしどり贈与)があります。ただし相続税の配偶者控除と比較検討が必要です。

Q. 相続時精算課税は誰でも使えますか?

A. 贈与者が60歳以上の親・祖父母、受贈者が18歳以上の子・孫という年齢要件があります。一度選択すると同じ贈与者からの贈与について暦年贈与には戻せません。


せと行政書士事務所ができること

せと行政書士事務所では、税理士と連携した贈与・相続の比較シミュレーション、贈与契約書の作成をサポートしています。「うちの場合はどちらが得か知りたい」という段階からご相談ください。

執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)

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投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。