高齢のご夫婦が専門家に相談するシーン

未婚・離別・死別などにより、配偶者や子がいない「おひとりさま」が増えています。頼れる家族がいない場合、元気なうちの備えが何より重要になります。本コラムでは、何から始めればよいかを整理します。


おひとりさまが直面しやすい課題

  • 判断能力が低下したとき、財産管理を頼める人がいない
  • 入院・施設入所の際の身元保証人がいない
  • 亡くなった後の葬儀・納骨・部屋の片付けを頼める人がいない
  • 疎遠な親族が、意図せず相続人になってしまう

何から始めるべきか

1. 財産・希望の棚卸し(エンディングノート)

まずは財産の一覧、延命治療への希望、葬儀の希望などを書き出すことから始めます。エンディングノート自体に法的効力はありませんが、次のステップの土台になります。

2. 任意後見契約

判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ「誰に」「何を」任せるかを契約しておく制度です。元気なうちにしか結べません。

3. 身元保証・生活支援サービスの検討

入院・施設入所時の保証人を、専門の身元保証サービスに依頼する選択肢があります。

4. 死後事務委任契約

葬儀・納骨・行政手続き・部屋の片付けなど、亡くなった後の事務を第三者に委任しておく契約です。

5. 遺言書の作成

相続人がいない、または疎遠な場合、遺言がなければ財産は最終的に国庫に帰属します。お世話になった方や団体に遺贈したい場合は、遺言が必須です。

専門家との相談シーン

優先順位の考え方

すべてを一度に揃える必要はありません。まずは「今、判断能力があるうちにしかできないこと」から着手するのが基本です。任意後見契約・遺言書の作成は特に優先度が高い項目です。



任意後見契約の具体的な内容

任意後見契約は、公正証書で作成する必要がある契約です。判断能力が低下した後、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点から効力が生じます。契約の中では、次のような事項を具体的に定めます。

  • 財産管理の範囲(預貯金の管理、不動産の管理・処分など)
  • 医療・介護に関する契約の締結権限
  • 入院・施設入所の手続き
  • 後見人への報酬の有無・金額

任意後見契約と同時に、判断能力がある間の財産管理を委任する「財産管理委任契約」を結んでおくと、判断能力低下前後で切れ目のない支援体制を作ることができます。

おひとりさまが専門家に依頼する際の費用感

契約内容や依頼先によって幅がありますが、公正証書作成費用、専門家への契約書作成報酬、後見開始後の月額報酬など、段階に応じた費用が発生します。事前に見積もりを確認し、無理のない範囲で制度を組み合わせることが大切です。


見守り契約という選択肢

任意後見契約が効力を持つのは判断能力低下後ですが、それまでの間も定期的に安否確認や生活状況の確認をしてもらう「見守り契約」を併用する方も増えています。「元気なうちから、緩やかに専門家とつながっておく」という安心感を得られる方法です。

おひとりさま特有の相続の注意点

子や配偶者がいない場合、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になることがあります。疎遠な親族に財産が渡ることを望まない場合は、遺言で世話になった方や団体への遺贈を指定しておくことが有効な対策です。

終活と書かれた付箋

よくある質問

Q. 頼れる家族も友人もいません。それでも大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。専門の身元保証法人や、行政書士等の専門家が任意後見人・死後事務委任の受任者になることも可能です。おひとりさまだからこそ、早めの制度活用が安心につながります。

Q. 何歳から準備すべきですか?

A. 年齢に関わらず、判断能力があるうちがベストなタイミングです。特に一人暮らしで持病がある方は、早めの検討をおすすめします。


せと行政書士事務所ができること

せと行政書士事務所では、エンディングノートの整理から、任意後見・死後事務委任契約・遺言書作成まで、おひとりさまの終活をワンストップでサポートしています。

執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)

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投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。