相続の手続きを進めようとして、最初につまずくのが、「財産が、どこに、どれだけあるのか、分からない」という悩みです。通帳が見当たらない、取引していた銀行が分からない、借金があるかどうかも、見当がつかない。

そのような場合でも、手がかりを集めて、順に調べていく方法があります。この記事では、財産ごとの、調べ方を、整理します。

この記事は、2026年10月現在の制度にもとづいた、一般的な内容です。照会の手続きや、手数料は、窓口によって異なる場合があります。

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なぜ、財産調査が大切なのか

相続では、預貯金や不動産などの、プラスの財産だけでなく、借金などの、マイナスの財産も、引き継ぎます。財産の全体が分からないまま、遺産分割協議を進めると、あとから、見つかった財産のために、協議をやり直すことがあります。

また、借金が多い場合は、相続放棄を検討しますが、その期限は、原則として、3か月です。そのため、財産の調査は、早めに、始めることが大切です。

まず、手がかりを集める

  • 郵便物:銀行、証券会社、保険会社、カード会社などからの、通知や、取引報告書が、届いていないか、確認します
  • 通帳・キャッシュカード・証書類:見つかった通帳の、引き落としや、振込の記録から、ほかの口座や、契約が、分かることがあります(保険料、家賃、ローン、証券会社への入出金など)
  • 固定資産税の納税通知書:毎年、市区町村から届きます。不動産の、手がかりになります
  • 確定申告書の控え:不動産収入や、配当、株式の譲渡などが、記載されていることがあります
  • 手帳・メモ・エンディングノート:取引先が、書き留められていることがあります
  • パソコン・スマートフォン・メール:ネット銀行や、ネット証券の、取引通知が、見つかることがあります

財産ごとの、調べ方

財産調べ方
預貯金取引していた可能性のある、金融機関に、相続人であることを伝えたうえで、残高証明書や、取引履歴の開示を、請求します。口座の有無が、分からない場合は、近隣の金融機関に、問い合わせる方法があります
不動産固定資産税の納税通知書を、確認します。市区町村の窓口では、名寄帳を取得することで、その市区町村内の不動産を、調べられます(固定資産税が非課税の土地や、共有名義の不動産などは、自治体によって取扱いが異なるため、取得時に確認しましょう)。法務局では、登記事項証明書を取得できます。また、2026年2月2日から、「所有不動産記録証明制度」が始まりました。全国の登記情報から、亡くなった方が、所有権の登記名義人となっている不動産を、まとめて検索できる制度で、相続人も請求でき、有料です。ただし、登記上の住所や氏名が、検索条件と異なる場合や、所有権の登記がされていない建物などは、検索されません。名寄帳などと併用して、調査することが大切です
株式・投資信託証券会社の、取引報告書や郵便物を、確認します。口座のある証券会社が、分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に、「登録済加入者情報の開示請求」ができます。この制度では、対象となる株式等の口座がある、証券会社や信託銀行などを、調べられます。ただし、保有銘柄や残高までは、分かりません。また、外国株式など、対象外の金融商品もあります。開示には、手数料がかかり、結果が届くまでに、時間がかかることもあるため、早めに調査を始めましょう
生命保険保険証券や、通帳の、保険料引き落とし記録を、確認します。契約していた保険会社が、分からない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を、利用できます。この制度では、生命保険協会に加盟する、保険会社の対象契約について、契約の有無を、確認できます。ただし、共済や、一部の保険契約は、対象外となるため、すべての契約が、判明するわけではありません。照会には、手数料がかかります
借金・保証債務郵便物や、請求書、借用書などを、確認します。また、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの、3つの信用情報機関に、亡くなった方の信用情報の開示を、請求する方法があります。請求できる人の範囲や、必要書類は、機関によって異なります。ただし、信用情報機関で、すべての借金が分かるわけではありません。個人間の借金や、登録されていない保証債務、未払いの税金などは、把握できないため、契約書や、郵便物なども、確認しましょう
ネット銀行・暗号資産などスマートフォンや、メールの通知から、手がかりを探します。スマートフォンやメールを、確認できない場合でも、銀行口座の入出金履歴や、郵便物などから、取引先を探せることがあります。契約先が判明した場合は、相続人であることを証明して、各事業者の相続手続きについて、確認しましょう
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調べた結果を、財産目録にまとめる

調べた内容は、財産目録として、一覧にまとめておくと、あとの手続きが、スムーズです。預貯金(金融機関名、支店名、残高)、不動産(所在地、評価額)、株式、保険、借金などを、種類別に、整理します。

財産目録を作成するときは、預貯金については、原則として、亡くなった日時点の残高を、確認します。不動産や株式などは、財産の種類や、調査の目的によって、評価方法が異なります。

特に、相続税の申告が必要な場合は、税理士に確認しましょう。なお、受取人が指定されている死亡保険金は、原則として、受取人固有の財産であり、遺産分割の対象にはなりません。

ただし、相続税の計算では、対象となる場合があるため、預貯金などとは区別して、整理しましょう。

借金が、ありそうなときは

調査の結果、借金が多く、プラスの財産を上回りそうな場合は、相続放棄や、限定承認を、検討します。相続放棄の期限は、原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から、3か月以内です。

この期間内に、財産の調査が終わらず、相続するか、放棄するかを、判断できない場合は、期間内に、家庭裁判所へ、「相続の承認または放棄の期間の伸長」を、申し立てることができます。

なお、限定承認は、原則として、相続人全員で、行う必要があります。

また、故人の財産を、処分すると、単純承認したものとみなされ、相続放棄が、できなくなる場合があります。相続放棄を、検討している場合は、財産を、使ったり、処分したりする前に、専門家へ相談しましょう。

遺品の確認や、財産の調査そのものが、禁止されるわけではありません。

よくあるご相談の例(仮の例)

例えば、一人暮らしの父親が亡くなり、長男が、遺品を整理していたとします。通帳は、1冊しか見つかりませんでしたが、その通帳に、証券会社への入金記録と、毎月の、保険料の引き落としがありました。

そこから、証券会社と、保険会社に、問い合わせたところ、ほかにも、口座や、契約があることが、分かりました。また、固定資産税の納税通知書から、実家のほかに、使っていない土地が、あることも、分かりました。

調べた内容を、財産目録に、まとめたことで、その後の、遺産分割協議が、進めやすくなりました。(これは、よくあるご相談を踏まえた仮の例です。実在の特定の方の話ではありません。)

よくある質問

Q. 相続人の1人だけで、銀行に、照会できますか?

A. 一般に、相続人であることを証明できれば、1人でも、残高証明書や、取引履歴の開示を、請求できます。必要書類は、金融機関によって異なるため、事前に、確認しましょう。

Q. 貸金庫が、あるかもしれません。どうすればよいですか?

A. 貸金庫の有無は、通帳の、手数料の引き落としや、鍵、契約書から、分かることがあります。貸金庫を開けるには、相続人全員の同意や、立会いを、求められるなど、金融機関ごとに、条件があります。事前に、金融機関に、確認しましょう。

Q. 財産が、全く見つからない場合は、どうなりますか?

A. 調べても、見つからない財産が、あとから、出てくることもあります。その場合は、改めて、相続人で、話し合うことになります。

せと行政書士事務所ができること

当事務所は、相続人調査とあわせて、預貯金や不動産などの財産調査、財産目録の作成、残高証明書の取得など、遺産整理に必要な手続きを、サポートします。

調査の結果、借金が多いことが判明した場合や、相続放棄を検討する必要が生じた場合は、ご了承をいただいたうえで、弁護士や司法書士と連携して、対応します。

また、相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人どうしの争いへの対応は弁護士の業務となるため、必要に応じて、各専門家をご案内します。

まとめ

相続財産の調査は、郵便物や、通帳、固定資産税の納税通知書などから、手がかりを集め、財産の種類ごとに、照会していくのが基本です。

2026年2月からは、全国の登記情報から、不動産を検索する、「所有不動産記録証明制度」も始まり、これまでより、財産調査の選択肢が増えました。

ただし、どの制度にも、調査できる範囲に限界があるため、複数の方法を、組み合わせて、確認することが大切です。また、借金がありそうな場合は、相続放棄の期限である、3か月を意識して、早めに調査を始めましょう。

調べた内容を、財産目録にまとめておくことで、その後の、遺産分割協議や、相続税の申告などの手続きを、進めやすくなります。次回は、相続人に、未成年者や、認知症の方、行方不明の方がいる場合の、進め方について、解説します。

こんな方は、自己判断で進める前に、ご相談ください

  • どこに、何があるか分からない方
  • 借金や保証債務が、ありそうな方
  • 相続放棄の3か月が、気になる方

相続財産の調査や、財産目録の作成は、初回30分無料でご相談ください

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受付時間 9:00〜17:00(日祝を除く)/大阪市北区西天満(大阪メトロ南森町駅から徒歩5分)

せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之
瀬戸 孝之(せと行政書士事務所 代表)
行政書士・CFP・1級FP技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士・認知症資産相談士。銀行・不動産・保険の業界を経て、実務25年。
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執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・1級FP技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士・認知症資産相談士)

投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。