前回は、相続人を確定するための、戸籍の集め方を解説しました。集めた戸籍は、預貯金の解約や、不動産の相続登記など、手続きのたびに、提出を求められます。そのたびに、戸籍の束を、提出するのは、手間がかかります。

そこで便利なのが、法定相続情報一覧図です。この記事では、その仕組みと、取るメリット、取り方を、整理します。

この記事は、2026年10月現在の制度にもとづいた、一般的な内容です。必要書類や、提出先での取扱いは、変更されたり、窓口によって異なったりする場合があります。

登記済権利証のイメージ

法定相続情報一覧図とは

法定相続情報一覧図とは、亡くなった方と、法定相続人の関係を、一覧にした書類です。家系図のような形で、被相続人(亡くなった方)と、相続人の氏名や、生年月日、続柄などを、まとめます。

この一覧図を、戸籍謄本などと一緒に、法務局(登記所)に提出すると、登記官が、内容を確認して、認証文を付けた写しを、交付してくれます。この写しを、戸籍謄本の束のかわりに、各種の相続手続きに使うことができます。

この制度を、法定相続情報証明制度といい、2017年から始まっています。手数料は、無料です。

取るメリット

  • 戸籍の束を、何度も提出しなくて済みます。預貯金の解約、相続登記、保険金の請求、年金の手続きなどで、一覧図の写しを、提出できます
  • 複数の手続きを、同時に進めやすくなります。必要な通数を、まとめて交付してもらえるため、複数の金融機関で、同時に、手続きを進められます
  • 提出先の、確認の負担が減ります。戸籍の束を、読み解く手間が、省けるため、手続きが、スムーズに進みやすくなります
  • 相続人の情報が、一目で分かります。相続人どうしで、状況を、共有しやすくなります
  • 手数料が無料です。ただし、戸籍謄本などの取得には、別途、手数料がかかります
  • 不動産の相続登記では、さらに手間が省けます。2024年4月から、一覧図の写しに記載された「法定相続情報番号」を、登記申請書に記載することで、一覧図の写しの添付を、省略できるようになっています(この番号は、不動産登記の申請などに限られ、金融機関の手続きでは、利用できません)

誰が、どこに申し出るのか

  • 申出人:相続人の1人、または、相続人の地位を承継した人です。代理人として、親族や、弁護士、司法書士、行政書士などの資格者に、依頼することもできます
  • 申出先:次のいずれかを管轄する、法務局(登記所)です。亡くなった方の、本籍地、または、最後の住所地、申出人の住所地、亡くなった方名義の不動産の所在地。郵送でも、申出ができます

取り方の手順

  • 1. 戸籍などを集める。亡くなった方の、出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の、現在の戸籍などを集めます
  • 2. 法定相続情報一覧図を、作成する。法務局のホームページに、記載例があります。手書きでも、パソコンでも、作成できます
  • 3. 申出書を、作成する。必要通数も、あわせて記載します
  • 4. 法務局に、提出する。窓口または郵送で、一覧図、申出書、戸籍などを、提出します
  • 5. 認証文付きの写しを、受け取る。確認が終わると、認証文付きの、一覧図の写しが、交付されます。日数は、法務局や、時期によって異なります。戸籍などは、返却されます

主な必要書類

書類内容・補足
亡くなった方の戸籍出生から死亡までの、連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含みます)
亡くなった方の住民票の除票最後の住所を、確認するために必要です。本籍の記載があるものを、取得します。住民票の除票が取得できない場合は、戸籍の附票を、用意する方法があります
相続人全員の戸籍現在の戸籍謄本または抄本です
申出人の、本人確認書類運転免許証などの、写しです
法定相続情報一覧図相続人が、作成します
申出書法務局所定の様式です
相続人の住民票(任意)一覧図に、相続人の住所を記載する場合に、必要です。住所の記載は、任意ですが、記載しておくと、相続登記などで、住民票の提出を、省略できる場合があります

使うときの注意点

  • 相続放棄や、遺産分割の内容は、記載されません。一覧図は、法律上の相続人を示すものです。相続放棄をした人も、記載されます。誰が、どの財産を相続するかは、別の書類(遺産分割協議書など)で、示します
  • 提出先によっては、戸籍謄本の提出を、求められる場合があります。一覧図の写しを、受け付けない提出先も、あるため、事前に、確認しましょう
  • 保管期間と、再交付に、注意しましょう。法定相続情報一覧図は、申出日の翌年から起算して、5年間、法務局で保管されます。この期間内であれば、当初の申出人は、最初に申出をした法務局で、無料で再交付を受けられます。ただし、申出人以外の相続人は、再交付を請求できません。なお、5年間というのは、法務局の保存期間であり、交付済みの一覧図の有効期限ではありません。5年を過ぎても、すでに交付された写しを、使用できる場合があります
  • 相続税の申告で使うときは、続柄の記載に、注意しましょう。一覧図には、子の続柄を、単に「子」と記載することもできますが、相続税の申告で、戸籍の代わりに使う場合は、実子か養子かが、分かる記載が必要です。また、相続関係を、図で示す形式で、作成する必要があります。被相続人に養子がいる場合は、その養子の戸籍謄本または抄本も、必要です
  • 代理人による手続きも、できます。ご自身で、戸籍を集めたり、一覧図を作成したりするのが、難しい場合は、専門家に、依頼する方法があります

よくあるご相談の例(仮の例)

例えば、母親が亡くなり、相続人が、子3人(長男、長女、次男)だったとします。預貯金は、3つの銀行に分かれており、それぞれの銀行から、戸籍謄本の提出を、求められました。

1つの銀行ごとに、戸籍の束を、提出して、返却を待っていると、時間がかかります。そこで、長男が、法定相続情報一覧図を作成し、法務局で、必要通数の写しを、受け取りました。

3つの銀行へ、同時に、手続きを進められたため、手続きの期間が、短くなりました。(これは、よくあるご相談を踏まえた仮の例です。実在の特定の方の話ではありません。)

よくある質問

Q. 法定相続情報一覧図は、必ず作る必要がありますか?

A. 必ず作る必要は、ありません。ただし、金融機関や、法務局に提出する戸籍の束を、一覧図の写しで、代用できるため、手続きが多い場合は、作っておくと便利です。

Q. 一覧図の写しは、何通くらい、請求できますか?

A. 必要な通数を、申出書に記載して、請求できます。手続きを進める、金融機関や、窓口の数に合わせて、請求しましょう。

Q. 相続税の申告や、相続放棄にも、使えますか?

A. はい。相続税の申告では、一定の条件を満たす、法定相続情報一覧図の写しを、戸籍謄本の代わりに、使用できます。また、家庭裁判所での、相続放棄の申述でも、戸籍謄本などに代えて、使用できる場合があります。

ただし、手続きによっては、追加書類が必要になるため、提出先に確認しましょう。

せと行政書士事務所ができること

当事務所は、戸籍謄本などの必要書類の収集、相続人の確定、法定相続情報一覧図の作成と、法務局への申出のサポートを行います(資格者代理人として、申出の代理もできます。委任状など、代理権限を確認できる書類が、必要になります)。

一覧図ができたあとは、そのまま、遺産分割協議書の作成や、預貯金の名義変更などの手続きに、お進みいただけます。

相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人どうしの争いは弁護士の業務のため、必要が生じたときは、ご了承をいただいたうえで、連携してご案内します。

まとめ

法定相続情報一覧図は、戸籍の束に代えて、亡くなった方と、法定相続人の関係を、証明できる書類です。法務局に申し出ることで、認証文付きの写しが、無料で交付されます。

複数の金融機関や、不動産の相続登記など、さまざまな相続手続きに、利用できるため、手続きを同時に進めやすくなるメリットがあります。

また、一覧図は、申出日の翌年から5年間、法務局で保管され、その期間内であれば、当初の申出人は、無料で再交付を受けられます。ただし、一覧図には、相続放棄や、遺産分割協議の内容は、反映されません。

また、提出先によっては、追加の戸籍謄本などが、必要になる場合があるため、事前に確認しましょう。次回は、相続財産の調査について、解説します。

こんな方は、自己判断で進める前に、ご相談ください

  • 複数の金融機関で、手続きを同時に進めたい方
  • 法定相続情報一覧図の作り方や、申出が不安な方
  • 戸籍の束が多く、整理しきれない方

法定相続情報一覧図の作成は、初回30分無料でご相談ください

初回相談は30分無料です。
お電話・フォーム・LINEから、お気軽にご相談ください。

受付時間 9:00〜17:00(日祝を除く)/大阪市北区西天満(大阪メトロ南森町駅から徒歩5分)

せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之
瀬戸 孝之(せと行政書士事務所 代表)
行政書士・CFP・1級FP技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士・認知症資産相談士。銀行・不動産・保険の業界を経て、実務25年。
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執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・1級FP技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士・認知症資産相談士)

投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。