「実家じまい」という言葉を聞いたことはあっても、何から手をつければいいか分からない方は多いのではないでしょうか。
「実家じまい」とは、親が住まなくなった(または将来住まなくなる)実家を、売る・貸す・解体する・空き家のまま管理するなど、何らかの形で整理していくことを指す言葉です。法律上の正式な用語ではありませんが、相続・不動産・介護の現場でよく使われるようになってきました。
似た言葉に「空き家対策」「終活」がありますが、実家じまいはそれらより少し広く、「実家という不動産と、そこに紐づく家族の気持ちの両方を整理していくプロセス全体」を指すイメージで捉えるとわかりやすいでしょう。

なぜ「実家じまい」を早めに考えるべきなのか
実家じまいが難しくなるのは、多くの場合「決めるタイミング」を逃してしまうからです。親の判断能力がしっかりしているうちは、本人の意思で売却や賃貸など自由に選択できます。しかし、認知症などで判断能力が低下すると、不動産の売却や名義変更が本人の意思だけではできなくなり、選択肢が大きく狭まります。
「まだ元気だから」と先送りにしているうちに、気づけば選べる方法が限られていた、というケースは珍しくありません。早く動くことが正解というわけではなく、今のうちに家族で方向性を話し合っておくことが大切です。話し合いの結果、「今はまだ何もしない」という結論に至ることも、もちろんあります。大切なのは、結論そのものより、家族で情報と考えを共有しておくプロセスです。
実家じまいの基本的な進め方
大まかな流れは次のとおりです。
- ①実家の状況を整理する(名義・築年数・住宅ローンの有無・固定資産税評価額など)
- ②家族の意向を確認する(親本人・きょうだい、それぞれの考え方)
- ③「売る・貸す・残す」の方向性を検討する
- ④必要に応じて専門家(行政書士・不動産業者・税理士など)に相談する
特に②の「家族の意向確認」を後回しにすると、いざ実行段階になってから意見が割れ、話し合いが長引く原因になります。早い段階で、たとえ結論が出なくても「話し合いの場を持つこと」自体に意味があります。
また、①の「実家の状況を整理する」段階では、権利証(登記識別情報)や固定資産税の納税通知書、住宅ローンの契約書など、関連する書類を一度集めておくと、後の手続きがスムーズになります。書類が見つからない場合も、法務局で登記事項証明書を取得すれば、名義や抵当権の有無を確認できます。

実家じまいの相談で多いきっかけ
実際のご相談では、「親が転倒して入院した」「固定資産税の納税通知書を見て、そういえば実家をどうするか決めていなかったと気づいた」といった、日常のちょっとした出来事がきっかけになることが多くあります。大きな決断というより、「気になっていたことを、そろそろ形にしよう」という自然な流れで相談に来られる方がほとんどです。
逆に言えば、特別なきっかけがなくても、思い立ったタイミングで相談を始めていただいて構いません。「まだ早いかもしれない」と感じても、早すぎて困ることはほとんどなく、むしろ選択肢が多い段階で相談できることの方がメリットは大きくなります。
よくある質問
Q. 実家じまいは、親が元気なうちから話してもいいのでしょうか?
A. むしろ、元気なうちに話しておくことをおすすめします。本人の意思を確認しながら進められるため、後のトラブルを防ぎやすくなります。「縁起でもない」と感じる方もいますが、実際には「元気なうちに家族で話し合っておいてよかった」という声を多く聞きます。
Q. 何から相談すればいいか分かりません。
A. まずは今の実家の状況(名義・築年数・利用状況)を整理するところからで大丈夫です。全体像を一緒に整理するところからサポートします。
Q. きょうだいの人数が多く、話がまとまるか不安です。
A. きょうだいが多いご家庭ほど、早めに情報を共有しておくことが有効です。第三者の専門家を交えることで、感情的な対立を避けながら整理を進めやすくなります。
せと行政書士事務所ができること
せと行政書士事務所では、行政書士・FP・宅地建物取引士としての知識を活かし、実家じまいを「不動産」「相続」「お金」の視点から一体で整理するお手伝いをしています。「何から始めればいいか分からない」という段階でも、まずはご相談ください。なお、税金の具体的な取り扱いについては税理士、登記手続きについては司法書士と連携し、正確な情報のもとで進めます。
まとめ
実家じまいは、一度に全部を決める必要はなく、「状況を整理する」「家族で話す」「専門家に相談する」という順番で、少しずつ進めていくことができます。今回ご紹介した基本の流れを踏まえたうえで、次回以降の記事では、認知症・きょうだい間の話し合い・税金・登記など、より具体的なテーマを一つずつ取り上げていきます。まずはご自身のご家庭に当てはまりそうなところから読み進めていただければと思います。
執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
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せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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