実家を相続したものの、誰も住まないまま放置している——そんなケースで気をつけたいのが固定資産税の負担です。

人が住んでいない実家を「とりあえずそのまま」にしている方は少なくありません。しかし、空き家を放置し続けると、行政から「特定空家等」に指定され、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる可能性があります。

「誰も住んでいないだけで、特に問題を起こしているわけではないのに」と思われるかもしれませんが、建物は人が住まなくなった瞬間から劣化のスピードが上がると言われています。換気がされず湿気がこもることで、木材の腐食やシロアリ被害が進みやすくなるためです。

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なぜ空き家の固定資産税が上がることがあるのか

住宅が建っている土地は、通常「住宅用地の特例」により固定資産税が軽減されています。ところが、空家等対策特別措置法に基づき「特定空家等」に指定され、勧告を受けた状態が続くと、この軽減措置の対象から外れ、税額が実質的に増える場合があります。

特定空家等に指定されるのは、倒壊の危険がある、衛生上有害である、景観を損ねているなど、周辺に悪影響を及ぼすと判断された建物です。一度指定されて終わりではなく、改善が見られない場合は、行政による勧告・命令、最終的には行政代執行(強制的な解体とその費用請求)に至ることもあります。

さらに2023年の法改正により、「特定空家等」になる前段階の「管理不全空家等」という区分も設けられました。これは、放置すれば特定空家等になるおそれがある状態を指し、この段階で市区町村が指導・勧告を行えるようになっています。つまり、以前よりも早い段階で行政の関与が始まる可能性がある、ということです。

放置する前にできること

特定空家等に指定される前の段階であれば、対応の選択肢はまだ広く残っています。

  • 定期的な見回り・換気・草木の手入れを行う
  • 売却や賃貸など、活用の可能性を検討する
  • 解体して更地にする、または管理を専門業者に委託する

遠方に住んでいて頻繁に見回りができない場合は、空き家管理サービスを提供している業者に定期巡回を委託する方法もあります。月数千円程度の費用で、換気・通水・郵便物の確認などを代行してもらえるサービスが増えています。「残す」を選ぶ場合は、こうした管理体制をセットで検討しておくと安心です。

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「実家を残しておきたい」という気持ちがある場合でも、管理の負担や将来の税負担を踏まえて、一度立ち止まって整理してみることをおすすめします。固定資産税の具体的な軽減措置の適用可否や税額の試算は、税理士・市区町村の税務担当への確認が必要です。

実際にあった空き家放置のケース

あるご家庭では、実家を相続してから3年ほど、特に何もせず空き家のまま放置していました。年に数回、様子を見に行く程度で、庭の草木や建物の傷みには気づいていたものの、「まだ大丈夫だろう」と対応を先送りにしていたそうです。あるとき近隣住民からの通報がきっかけで、市区町村から現状確認の連絡が入り、初めて特定空家等に該当し得る状態だと知ったといいます。

幸い、その時点で修繕や管理体制の見直しを行い、大事には至りませんでしたが、「もっと早く相談しておけばよかった」という声を多くいただきます。空き家の状態は、外から見えている以上に内部で劣化が進んでいることも多く、早めの確認が肝心です。

よくある質問

Q. すでに特定空家等に指定されてしまった場合、どうすればいいですか?

A. まずは市区町村からの通知内容を確認し、求められている改善(修繕・除却など)を検討する必要があります。放置するとさらに手続きが進んでしまうため、早めの対応をおすすめします。

Q. 管理不全空家等と特定空家等は何が違いますか?

A. 管理不全空家等は「このまま放置すると特定空家等になるおそれがある」段階、特定空家等は「すでに危険・有害な状態にある」段階です。前者の時点で対応できれば、選択肢はより多く残ります。


せと行政書士事務所ができること

「空き家をどうすればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。売る・貸す・残すの選択肢を、ご家族の状況に合わせて一緒に整理します。

まとめ

空き家の放置は、固定資産税の負担増だけでなく、建物自体の劣化や、行政からの指導・勧告につながる可能性もあります。「まだ大丈夫」と感じていても、一度実家の現状を確認し、管理体制や今後の方針を考えておくことをおすすめします。放置期間が長くなるほど、選べる対応の幅は狭くなっていきます。

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執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)

投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。