ご家族が亡くなったあと、遺品を整理していて、遺言書が見つかることがあります。「開けてよいのか」「家庭裁判所に持って行く必要があるのか」と、戸惑う方は少なくありません。遺言書は、種類によって、その後の手続きが変わります。
この記事では、遺言書が見つかったときに、まず確認したいことと、検認の要否、進め方を整理します。
この記事は、2026年10月現在の制度にもとづいた、一般的な内容です。2026年6月24日に、遺言制度の見直しを含む民法等の改正法が公布されましたが、遺言制度に関する主な改正規定は、まだ施行されていません。この記事では、現行の制度で説明しています。

まず、遺言書の種類を確認する
検認が必要かどうかは、遺言書の種類で決まります。見つかった遺言書が、どの種類かを、確認しましょう。
| 遺言書の種類 | 検認 | 見つけ方・確認先 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 不要 | 公証役場で作成されます。正本・謄本が、自宅にあることもあります。公証役場の遺言検索システムで、作成の有無を確認できます |
| 自筆証書遺言(自宅などで保管) | 必要 | 金庫、仏壇、貸金庫、書類の間などから、見つかることがあります |
| 自筆証書遺言(法務局で保管) | 不要 | 法務局の遺言書保管所に、保管されています。保管の有無は、相続人などが、法務局に請求して確認できます |
| 秘密証書遺言 | 必要 | 内容を秘密にしたまま、公証役場で、存在を証明してもらった遺言書です。利用は、あまり多くありません |
封印のある遺言書は、勝手に開封しない
遺言書が、封筒に入っている場合は、まず、封印の有無を確認しましょう。
封印のある遺言書は、勝手に開封してはいけません。封印のある遺言書は、家庭裁判所で、相続人などの立会いのもとで、開封する必要があります。家庭裁判所以外で開封すると、5万円以下の過料の対象になることがあります。
ただし、誤って開封しても、それだけで、遺言書が無効になるわけではありません。気づいたときは、慌てずに、そのまま保管して、家庭裁判所の手続きに進みましょう。
なお、封印のない自筆証書遺言であっても、自宅などで保管されていた場合は、原則として、家庭裁判所での検認が必要です。
検認とは
検認とは、家庭裁判所が、遺言書の状態を確認し、その内容を記録する手続きです。相続人に、遺言書の存在と内容を知らせるとともに、その後の、偽造や変造を防ぐ目的があります。
ここで、注意したいことがあります。検認は、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。検認を受けたからといって、その遺言書が有効と確定するわけではありません。
また、検認を受けていなくても、それだけで、遺言書が無効になることはありません。
検認が必要な場合の流れ
- 1. 申立て:遺言書を保管していた人、または、遺言書を見つけた相続人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に、検認を申し立てます
- 2. 必要書類の準備:申立書、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などが必要です。収入印紙や郵便切手も、必要です
- 3. 検認期日の通知:家庭裁判所から、相続人全員に、検認の日時が通知されます
- 4. 検認期日:申立人は、遺言書を持参して出席します。ほかの相続人の出席は、任意です。封がされた遺言書は、家庭裁判所で開封され、遺言書の状態や内容が確認されます
- 5. 検認済証明書の交付:検認が終わると、検認済証明書を申請して、受け取ります。不動産の登記や、預貯金の相続手続きでは、通常、この証明書が必要になります
検認に必要な費用は、検認の申立てが、遺言書1通につき収入印紙800円、検認済証明書が、遺言書1通につき収入印紙150円です(2026年10月現在)。
このほか、連絡用の郵便切手が必要で、金額は、申立先の家庭裁判所によって異なります。
検認が終わるまでの期間は、裁判所や案件によって異なり、1か月程度、またはそれ以上かかる場合もあります。戸籍謄本を集めるのに、時間がかかることもあるため、早めに準備を始めましょう。
遺言書が見つからないときは
遺言書がありそうなのに、見つからない場合は、次の方法で、確認します。
- 公正証書遺言:1989年(平成元年)以降に作成された公正証書遺言は、全国の公証役場で、作成の有無や、保管している公証役場を検索できます。検索は無料で、遺言者が亡くなったあと、相続人などの利害関係人が請求できます。亡くなったことが分かる戸籍謄本、相続関係を確認できる戸籍謄本、本人確認書類などが必要です。遺言書が見つかった場合は、保管している公証役場に、謄本を請求できます
- 法務局保管の自筆証書遺言:相続人などは、法務局に「遺言書保管事実証明書」を請求して、遺言書が保管されているかを確認できます(手数料800円)。保管されていることが分かった場合は、「遺言書情報証明書」を取得することで、遺言書の内容を確認できます(手数料1,400円)。この証明書は、相続手続きにも利用できます。なお、誰でも、故人のすべての遺言書を検索できるわけではありません
- 自宅や、貸金庫:自宅の中や、銀行の貸金庫、親しい人への預け先なども、確認します
遺言書が見つからないまま、遺産分割を進めたあとに、遺言書が見つかると、やり直しが必要になることがあります。時間がかかっても、できる範囲で、確認しておきましょう。

遺言書の内容を、どう進めるか
- 遺言執行者が、指定されているか確認する。遺言執行者がいる場合は、その人が、遺言の内容を実現する手続きを進めます。遺言執行者は、相続人に、遺言の内容を通知します
- 遺言執行者がいない場合は、相続人が手続きを進める。必要に応じて、家庭裁判所に、遺言執行者の選任を申し立てることもできます
- 遺言書が、複数見つかったとき。有効な遺言書が複数ある場合、内容が矛盾する部分については、原則として、日付が新しい遺言書が優先されます。ただし、矛盾しない部分については、古い遺言書の内容も、有効なまま残ることがあります
- 遺留分に、注意する。遺言書の内容が、一部の相続人の遺留分を侵害している場合は、その相続人が、遺留分侵害額を請求できることがあります
遺言書の内容が分かりにくい、または、形式の不備で、有効かどうか疑わしい場合は、相続人どうしで争いになることもあります。その場合は、弁護士にご相談ください。
遺言書を、隠したり、書き換えたりしてはいけない
遺言書を、故意に隠したり、破棄したり、書き換えたりすると、相続欠格に該当し、相続人としての資格を失うことがあります。ただし、遺言書を隠したり、破棄したりした場合でも、直ちに相続欠格になるわけではありません。
最高裁判所の判例では、相続に関して、不当な利益を得る目的がなかった場合は、相続欠格には当たらないとされています。自分に不利な内容であっても、見つけた遺言書は、そのまま保管して、必要な手続きを進めましょう。
よくあるご相談の例(仮の例)
例えば、父親が亡くなり、長男が、実家の引き出しから、封筒に入った遺言書を見つけたとします。「内容が気になるから、すぐに開けたい」と思う一方で、「勝手に開けてよいのか」と、不安になります。
こうしたときは、まず、封印の有無と、遺言書の種類を確認します。自筆の遺言書で、自宅に保管されていたものであれば、家庭裁判所で、検認の手続きが必要になることが、多いです。
(これは、よくあるご相談を踏まえた仮の例です。実在の特定の方の話ではありません。)
よくある質問
Q. 検認をしないと、名義変更などの手続きはできませんか?
A. 自宅などで保管されていた、自筆証書遺言は、検認済証明書がないと、不動産の登記や、預貯金の手続きが、できないのが一般的です。公正証書遺言と、法務局で保管された自筆証書遺言は、検認が不要です。
Q. 検認の期日に、行けない相続人がいても大丈夫ですか?
A. 申立人以外の相続人は、出席が任意のため、出席できなくても、検認の手続きは進みます。検認が終わったあとに、内容を確認できます。
Q. 遺言書の内容に、納得できない場合は、どうすればよいですか?
A. 遺言書があっても、遺留分の請求ができる場合があります。また、遺言書が有効かどうかに疑問がある場合は、争いになる可能性があるため、弁護士にご相談ください。
せと行政書士事務所ができること
家庭裁判所に提出する、検認の申立書の作成は、司法書士や弁護士の業務です。当事務所では、検認に必要な戸籍謄本の収集、相続人関係図の作成、遺言書の内容にもとづく、預貯金の解約・名義変更の手続き、遺言執行などをサポートします。
相続人どうしの争いは弁護士、不動産の登記は司法書士、相続税の申告は税理士の業務のため、必要が生じたときは、ご了承をいただいたうえで、連携してご案内します。
まとめ
遺言書が見つかったら、まず、封印の有無と、遺言書の種類を確認しましょう。公正証書遺言と、法務局で保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認が不要です。
一方、自宅などで保管されていた自筆証書遺言や、秘密証書遺言は、原則として、検認が必要です。封印のある遺言書は、家庭裁判所で開封する必要があるため、勝手に開けないようにしましょう。
また、検認は、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。遺言書の内容に疑問がある場合は、専門家にご相談ください。次回は、亡くなったあとの、預貯金の凍結と、使えるお金について、解説します。
こんな方は、自己判断で進める前に、ご相談ください
- 遺言書を見つけたが、開封してよいか分からない方
- 遺言書の内容に、納得できない・疑問がある方
- 遺言書があるか分からず、探し方に迷っている方
遺言書が見つかったあとの手続きは、初回30分無料でご相談ください
初回相談は30分無料です。
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受付時間 9:00〜17:00(日祝を除く)/大阪市北区西天満(大阪メトロ南森町駅から徒歩5分)
執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・1級FP技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士・認知症資産相談士)
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
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せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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