
相続手続きの最初の一歩は「相続人を確定させること」です。しかし、この戸籍収集作業に1〜2か月かかることも珍しくありません。本コラムでは、なぜ時間がかかるのか、その落とし穴を解説します。
相続人調査とは
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(戸籍・除籍・改製原戸籍)を取得し、法定相続人が誰であるかを確定させる作業です。銀行手続き・不動産の名義変更・遺産分割協議、すべての前提になります。
なぜ時間がかかるのか
1. 本籍地を転々としているケースが多い
結婚・引っ越し・戦後の戸籍改製などで、本籍地が何度も変わっていることがあります。1通取得するごとに、次にどこの役所に請求すべきかを読み解く必要があります。
2. 郵送請求が中心で時間がかかる
本籍地が遠方の場合、郵送でのやり取りが必要になり、往復だけで数週間かかることもあります。
3. 古い戸籍は手書きで読み取りにくい
改製原戸籍は手書き・旧字体で書かれていることが多く、内容の読み取り自体に時間がかかります。
4. 想定外の相続人が見つかることがある
調査の結果、「前妻との間に子がいた」「認知した子がいた」など、家族も知らなかった相続人が判明するケースがあります。この場合、その方にも連絡・協議参加が必要になります。

早く進めるためのポイント
- 相続開始後、できるだけ早く着手する(銀行の口座凍結解除や相続税申告の期限(10か月)から逆算する)
- 専門家(行政書士・司法書士等)に職務上請求で一括取得を依頼すると大幅に時間短縮できる
- 「法定相続情報一覧図」を作成しておくと、以後の手続きで戸籍の束を何度も出す必要がなくなる
職務上請求とは何か
行政書士・弁護士・司法書士等の専門家は、業務上必要な場合に限り、依頼者の委任状なしで戸籍謄本等を請求できる「職務上請求」という制度を利用できます。一般の方が自分で請求する場合、委任状や関係を証明する戸籍を都度提示する必要がありますが、専門家が代行する場合はこの手間が大幅に軽減されます。
戸籍収集で実際にかかる期間の目安
| ケース | 目安期間 |
| 本籍地が一貫して同じ市区町村 | 1〜2週間 |
| 本籍地の異動が2〜3回ある | 3〜4週間 |
| 本籍地の異動が多い、遠方への郵送請求が中心 | 1〜2か月以上 |
相続税の申告期限(相続開始から10か月)や、預金の払い戻し等を考えると、相続開始後、できるだけ早く着手することが重要です。
法定相続情報一覧図の作り方
収集した戸籍一式をもとに相続関係を一覧図にまとめ、法務局に申出をすると、認証文付きの写しを無料で複数枚発行してもらえます。この一覧図があれば、以後の相続手続き(銀行・証券会社・法務局など)で、戸籍の束を何度も提出する必要がなくなり、各機関での確認時間も短縮できます。相続手続きが複数の機関にまたがる場合、特に有効な準備です。
戸籍収集でつまずきやすいポイント
- 旧字体・くずし字が読み取れない(明治・大正生まれの被相続人の場合、専門知識がないと解読が困難)
- 本籍地の役所が合併・変更されている(現在の自治体名で請求先を調べ直す必要がある)
- 兄弟姉妹が相続人になるケースでは、被相続人の父母それぞれの出生までの戸籍も必要になり、収集範囲が大幅に広がる
- 戸籍の附票や除票は保存期間が定められており、古いものは取得できないことがある
特に、子がいない夫婦の相続では、兄弟姉妹や甥姪まで相続人の範囲が広がることがあり、戸籍収集の負担が一気に増えます。このようなケースこそ、専門家による代行の効果が大きくなります。
相続人調査を怠った場合に起きる問題
相続人の一部を見落としたまま遺産分割協議書を作成してしまうと、その協議自体が無効になります。せっかく話し合いをまとめても、後から新たな相続人が判明すれば、最初からやり直しになるケースも珍しくありません。特に、被相続人が再婚歴を持つ場合や、認知した子がいる場合は、慎重な調査が不可欠です。
相続人が多数・遠方にわたる場合の進め方
相続人が10人を超えるようなケースでは、全員と連絡を取るだけでも大きな労力がかかります。専門家が窓口となり、相続人全員へ状況説明の書面を送付し、返信を取りまとめる形で進めることで、個々の相続人の負担を抑えながら合意形成を進めることができます。

よくある質問
Q. 相続人が自分で取得することもできますか?
A. 可能です。ただし本籍地の異動が多い場合、平日に何度も役所とやり取りする必要があり、仕事をしながらでは負担が大きいのが実情です。
Q. 法定相続情報一覧図とは何ですか?
A. 法務局が発行する相続関係を一覧化した証明書です。一度作成すれば、銀行・法務局など複数の手続きで戸籍の原本の代わりに使用でき、非常に便利です。
せと行政書士事務所ができること
せと行政書士事務所では、職務上請求による戸籍の一括収集、相続人関係図・法定相続情報一覧図の作成までサポートします。「まず相続人が誰かを確定させたい」という段階からお任せください。
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執筆者:せと行政書士事務所 代表 瀬戸孝之(行政書士・CFP・FP1級技能士・宅地建物取引士・家族信託専門士)
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投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
-
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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