『家族信託 』をご存じですか?
「信託」という言葉を聞くと、多くの人は信託銀行を思い浮かべることがあるかもしれませんが、それは少し違います。
家族が本人のために財産を管理するのが『家族信託(民事信託)』です。
財産を管理するのは、信託銀行ではなく家族が管理する仕組みです。そしてその管理している財産から得られる利益は、本人が受け取ることができます。これらは法律で詳しく定められているので、安心してご利用いただけます。
そこで今回は、この家族信託の魅力とシニア世代にとっての利用メリットについて詳しく解説します。
『家族信託』とは
家族信託の基本的な概念から見ていきましょう。
信託とは、ある人(委託者)が、自身の財産を他人(受託者)に託して、その財産を受託者が管理し、受益者に利益をもたらすようにする制度です。
そして、家族信託の場合は、あなたが委託者となり、あなたの資産を、家族に託すことで、あなたがその利益を受け取ることができます。
『家族信託』の魅力
では、なぜ家族信託がシニアにとって魅力的なのでしょうか。その答えは、資産管理の自由度と、安心感にあります。
まずは、資産管理の自由度について説明しましょう。
シニア世代の方は、老いていく自分を心配し、今後、誰が資産を管理し、適切に運用するのか、また、自分が望む通りに家族に適切に資産が渡されるのか、という不安を抱いています。家族信託は、そんな不安を解消します。契約書の中で以下のようなことを定めることができます。
- 誰に資産を預けるのか(受託者)
- 何のためにその資産を使うのか(目的)
- 誰がその利益を得るのか(受益者)
- いつ契約が終わるのか(信託の終了)
- 信託終了後、誰にその資産を渡すのか(帰属権利者)
次に、安心感です。
家族信託は、もしも認知症などで自分の意思を伝えられなくなった場合でも、事前に指定した信託の内容に従って資産管理が行われます。例えば、介護施設へ入居費用を捻出するために、家族が自宅を売却することができます。本来認知症になった場合は、成年後見制度を使うしかありませんが、家族信託を事前にしていれば、自分の生活が保障されると同時に、家族にも負担がかからずに済むのです。
さらに、家族信託は、家族間の信頼関係を深める効果もあります。
契約をするためには、家族が必ず登場する必要があります。本人の資産をどのように管理していくのか、家族で話し合う機会を設けなくてはいけません。これが家族同士のコミュニケーションにつながり、認知症や介護への備えだけでなく、相続問題による家族間の摩擦を避けることもできます。将来の不確実性を軽減し、家族全体の安心感を増す効果へとつながるのです。
まとめ
家族信託は、相続問題をスムーズにするだけでなく、シニアライフを安心して過ごすための一つの道具となり得ます。あなたの人生の晩年を、安心して過ごすために、家族信託の活用を検討してみてはいかがでしょうか。信頼と安心を築くためのツールとして、家族信託は大きな可能性を秘めています。
具体的にどんな対策ができるのか、知りたい方はこちらも(せと行政書士事務所)ご覧ください。