―「任せる相続」が失敗する本当の理由―
「相続のことは、子どもに任せておけばいい」
そう考える親世代は少なくありません。
ところが実務の現場では、
“任せたはず”の相続が、子どもに大きな負担と対立を残すケースが繰り返し起きています。
なぜでしょうか。
結論から言えば、
相続は「気持ち」や「信頼」だけでは進まず、期限と手続という“制度”で動くからです。
しかも近年、この制度はますます**「放置を許さない」方向へ変わっています。
1.「任せる相続」が失敗する構造
―子どもは“入口”で詰まる―
相続で子どもが最初に直面するのは、
遺産の分け方以前に「手続が前に進まない」現実です。
典型例が不動産です。
2024年4月1日から、相続登記は義務化されました。
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要で、
正当な理由なく放置すれば10万円以下の過料が科される可能性があります。
過去の相続で未登記の不動産も対象です。
つまり、
「そのうちやる」は、制度上のリスクになったということです。
ここで大きな誤解が生まれます。
親は「家は長男が継ぐだろう」と思っていても、
子ども側はその前に、
- 相続人の確定
- 戸籍の収集
- 遺産分割協議
- 登記申請
という工程を一つずつ進めなければなりません。
さらに兄弟姉妹の関係性が微妙な場合、
この“入口”の段階で止まるのです。
2.税は待ってくれない
―相続税申告10か月という時間制限―
次に子どもを追い詰めるのが、税務のタイムラインです。
相続税の申告期限は、
被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内。
土日祝に当たれば翌日が期限という、明確なルールがあります。

重要なのは、
相続税がかかるかどうかに関係なく、時間は進むという点です。
しかし「任せる相続」では、
- 預金口座がどこにあるのか分からない
- 不動産の評価資料がない
- 保険や借入の有無が不明
- デジタル資産が整理されていない
といったケースが多く、
子どもはまず**“探す仕事”から始める**ことになります。
結果として、
期限に間に合わない不安が一気に高まります。
3.「揉めたら家庭裁判所」という現実
―最後の砦だが、負担は大きい―
話し合いがまとまらない場合、
遺産分割調停・審判として家庭裁判所を利用することになります。
裁判所の案内でも、
申立書の作成や戸籍・資料の提出など、
一定の準備が必要であることが示されています。

家庭裁判所を使うこと自体は、決して悪いことではありません。
しかし実務では、
**「親が元気なうちに整理しておけば避けられた摩擦」**が、
調停という形で表面化し、
兄弟間の感情が決定的にこじれる場面も少なくありません。
これは、
子どもにとって金銭以上の負担になります。
4.では「子どもが困らない相続」とは何か
―結論は「任せない仕組み化」―
子どもが困らない相続とは、
子どもが推測しなくて済む相続です。
ポイントは次の3つです。
(1)財産と意思を“見える化”する
「公平に」「仲良く」といった抽象的な言葉ではなく、
何を、誰に、どれだけ渡すのかを具体的に書面で残す。
不動産がある場合、相続登記の義務化により
名義をどうするかは避けて通れない論点です。
(2)「遺言があるか分からない」を防ぐ
自筆証書遺言は、法務局で保管できる制度があります。
これにより、紛失・隠匿・所在不明のリスクを下げ、
「あるのか、ないのか」で揉める事態を防ぎやすくなります。
(3)期限を逆算し、家族で共有する
相続税の申告期限は10か月。
「うちは税金がかからないはず」という思い込みは危険です。
期限と必要資料の見通しを生前から共有するだけでも、
子どもの心理的負担は大きく減ります。
5.「任せる相続」の本当の失敗原因
親が相続を任せたいのは、
子どもを信じているから。
これは、とても自然な親心です。
しかし相続で本当に必要なのは、
**信頼ではなく「手続の設計」**です。
設計がなければ、
子どもは兄弟に説明できず、
役所や金融機関で何を出せばいいか分からず、
期限に追われ、
結果として家族関係が壊れていく。
これが、
「任せる相続」が失敗するメカニズムです。
まとめ
―「任せる」から「渡せる形にしておく」相続へ―
子どもが困らない相続とは、
親が「判断」を残し、子どもが「実行」できる状態にしておく相続です。
相続登記の義務化(3年以内)は、
「放置できた時代」が終わったことを象徴しています。
相続税の申告期限(10か月)は、
家族の事情に関係なく進む時計です。
「任せる」から
「整えて渡す」へ。
それが、
子どもを本当に守る相続です。
せと行政書士事務所ができること(大阪市北区)
―「子どもが困らない相続」を実務で形にする―
相続の準備は、
遺言を書くだけ、書類を作るだけでは足りません。
実際に子どもが困るのは、
**「判断が必要な場面」と「期限に追われる手続」**が同時に押し寄せたときです。
せと行政書士事務所では、
相続を法律手続だけで切り取らず、
子どもと家族の負担がどう発生するかという現実から逆算して整理します。
相続で「子どもが困るポイント」を事前に洗い出します
せと行政書士事務所がまず行うのは、
次のような点の見える化です。
- 相続登記の義務化(3年以内)に対応できているか
- 相続税申告(10か月以内)が必要になる可能性はあるか
- 不動産を「誰が・どう使うか」が決まっているか
- 財産情報が子どもに伝わる状態になっているか
- 判断能力が下がった場合の動き方が決まっているか
これらを整理せずに相続が始まると、
**子どもが“その場で決めさせられる相続”**になってしまいます。
「任せる相続」ではなく「迷わせない相続」へ
私たちが目指しているのは、
子どもに判断を押し付ける相続ではありません。
- 親の意思が分かる
- 手続の流れが見えている
- 期限に追われず動ける
子どもが「実行するだけ」で済む相続を、
生前から一緒に設計します。
これは、
行政書士が得意とする
制度・期限・書面整理を横断したサポートだからこそ可能です。
こんな方にご相談いただいています
- 子どもに迷惑をかけたくないと考えている方
- 相続登記義務化への対応が気になっている方
- 不動産を含む相続をどう整理すべきか悩んでいる方
- 遺言を書くべきか分からないまま時間が過ぎている方
- 「何から始めればいいか分からない」状態の方

子どもが困らない相続を、今から一緒に考えませんか
相続は、
起きてから考えるものではなく、
起きる前に「渡せる形」にしておくものです。
今の状況を整理するだけでも、
将来、子どもが背負う負担は大きく変わります。
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
-
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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