ディスクリプション
大阪で家族信託を検討中の方へ。認知症による資産凍結を防ぐ仕組みから、具体的な手続きの流れ、費用相場、信頼できる専門家の選び方まで、実務経験をもとに分かりやすく解説します。大阪の地域特性を踏まえた事例も豊富にご紹介。
導入文
「親が認知症になったら、実家を売却できなくなる」「親名義の口座が凍結されて、介護費用が引き出せない」──こうした不安を抱えている方は少なくありません。実際、認知症患者の増加に伴い、資産凍結のリスクは年々高まっています。そんな中、注目されているのが家族信託という仕組みです。本記事では、大阪で家族信託を検討されている方に向けて、制度の基本から実務的な手続き、費用相場、専門家の選び方、さらには大阪ならではのポイントまでを網羅的に解説します。読み終える頃には、家族信託を始める具体的なイメージが持てるはずです。
家族信託とは?認知症による資産凍結から家族を守る仕組み

家族信託とは、財産を持つ人が元気なうちに、信頼できる家族に財産の管理・運用を託す仕組みです。正式には「民事信託」と呼ばれ、信託法に基づいた法的制度として位置づけられています。
具体的には、財産を持つ親を委託者、財産を預かり管理する子を受託者、財産から生じる利益を受け取る人を受益者と呼びます。多くのケースでは、委託者と受益者が同一人物、つまり親自身となります。
なぜ今、家族信託が注目されているのか
背景にあるのは、超高齢社会における認知症患者の急増です。厚生労働省の推計によれば、2025年には高齢者の約5人に1人が認知症を発症するとされています。認知症になると、法律上「意思能力がない」と判断され、本人名義の財産が事実上凍結されてしまいます。
銀行口座からの引き出しができなくなるだけでなく、不動産の売却や賃貸借契約の締結、保険の見直しなど、あらゆる財産管理行為が制限されます。たとえ家族であっても、本人に代わって勝手に財産を動かすことはできません。
こうした事態を未然に防ぐために、元気なうちに財産管理の権限を家族に託しておく──それが家族信託の最大の目的です。
成年後見制度との違いを理解する
認知症対策として知られる制度に「成年後見制度」があります。しかし、家族信託とは以下のような違いがあります。
家族信託の特徴
- 本人が元気なうちに契約を結ぶため、本人の意思を反映しやすい
- 財産管理の内容を柔軟に設計できる
- 受託者が迅速に判断・実行できる
- 不動産の売却や組み替えなど、積極的な資産運用が可能
- 家庭裁判所の監督を受けない
成年後見制度の特徴
- 本人が認知症になった後に申し立てる
- 家庭裁判所が後見人を選任するため、希望通りにならない場合もある
- 本人の財産を守ることが最優先で、積極的な運用は制限される
- 不動産売却には家庭裁判所の許可が必要
- 定期的な報告義務があり、専門家が後見人になると報酬が発生し続ける
つまり、家族信託は「予防」の仕組み、成年後見制度は「事後対応」の仕組みと言えます。両者は対立するものではなく、状況に応じて使い分けるべきものです。
家族信託で実現できること|具体的な活用シーン
家族信託は単なる認知症対策にとどまらず、さまざまな場面で活用できます。ここでは代表的な活用シーンをご紹介します。
親の認知症に備えた財産管理

最も一般的な活用例です。親が元気なうちに、自宅や預貯金、賃貸不動産などを信託財産として子に託します。親が認知症になっても、子が受託者として財産を管理・運用できるため、介護施設の入所費用の支払いや、自宅の売却、賃貸不動産の修繕・建て替えなどがスムーズに進められます。
不動産の共有問題を回避する相続対策

不動産を複数の相続人で共有すると、売却や管理に全員の同意が必要となり、意見が割れると身動きが取れなくなります。家族信託を活用すれば、受託者に管理・処分権限を集約しつつ、収益は受益権として複数の相続人に分配できます。これにより、柔軟な財産管理と公平な利益配分を両立できます。
障がいのある子への財産承継

親亡き後、障がいのある子に財産を残したいが、本人が管理できるか不安──そんなケースにも家族信託が有効です。親が委託者、信頼できる家族が受託者、障がいのある子が受益者となる信託を組成すれば、親の死後も安定した生活資金を確保できます。さらに、その子が亡くなった後の財産の行き先も指定できる「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」という仕組みも活用できます。
事業承継をスムーズに進める

中小企業のオーナーが高齢化した場合、株式を信託することで、議決権は後継者に集約しつつ、配当は複数の相続人に分配するといった柔軟な設計が可能です。認知症による経営の空白を防ぎ、円滑な事業承継を実現できます。
家族信託のメリット|なぜ多くの家族が選ぶのか
家族信託には、他の制度にはない多くのメリットがあります。
本人の意思を尊重した柔軟な設計が可能
家族信託は契約ですので、委託者の意思を契約内容に反映できます。どの財産を信託するか、誰を受託者にするか、どのように運用するか、すべて家族の状況に合わせて自由に設計できます。
迅速な財産管理・処分が可能
成年後見制度では、不動産の売却や大きな支出には家庭裁判所の許可が必要で、時間がかかります。一方、家族信託では、信託契約の範囲内であれば受託者の判断で迅速に対応できます。介護施設の入所費用が急に必要になった場合でも、すぐに対応できます。
二次相続以降も財産の行き先を指定できる
通常の遺言では、自分の財産を誰に渡すかは指定できますが、その後の行き先は指定できません。家族信託では、一次受益者が亡くなった後の二次受益者、さらに三次受益者まで指定できます。これにより、数世代先までの財産承継の道筋を設計できます。
家族の負担軽減とプライバシー保護
成年後見制度では、定期的な報告書作成や家庭裁判所への提出が必要で、家族の負担が大きくなります。家族信託では、そうした手続きが不要です。また、家庭裁判所の関与がないため、家族の財産状況が公的機関に知られることもありません。
家族信託のデメリットと注意点|始める前に知っておくべきこと
メリットが多い家族信託ですが、万能ではありません。デメリットや注意点も理解しておきましょう。
初期費用がかかる
家族信託を始めるには、専門家への報酬、公正証書作成費用、不動産の信託登記費用などが必要です。信託する財産の規模にもよりますが、数十万円から百万円以上かかることもあります。ただし、成年後見制度では専門家が後見人になった場合、毎月数万円の報酬が生涯続くため、長期的に見ると家族信託の方が費用を抑えられるケースも多いです。
受託者の責任と負担
受託者には、信託法に基づく厳格な義務が課せられます。善管注意義務、忠実義務、分別管理義務などを守り、帳簿を作成し、受益者への報告を行う必要があります。不動産の管理や修繕、税務申告なども受託者の責任です。これらの負担を軽減するため、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
身上監護はできない
家族信託で託せるのは「財産管理」のみです。介護施設への入所契約や医療行為の同意など、本人の生活や身体に関わる「身上監護」は含まれません。身上監護が必要な場合は、任意後見制度と併用する方法もあります。
税務上の取り扱いに注意が必要
家族信託では、受益者が税務上の所有者とみなされます。そのため、不動産の固定資産税や所得税は受益者が負担します。また、信託設定時に受益権が移転する場合は贈与税、受益者の死亡時には相続税の対象となります。税務面での影響を事前に専門家に確認することが重要です。
全ての金融機関が対応しているわけではない
金融機関によっては、信託口口座の開設に対応していない場合があります。特に地方銀行や信用金庫では対応が分かれます。大阪では都市銀行を中心に対応が進んでいますが、事前に確認が必要です。
家族信託の手続きの流れ|契約から開始まで
家族信託を実際に始める際の流れを、ステップごとに解説します。
ステップ1:専門家への相談
まずは家族信託に詳しい専門家に相談します。司法書士、弁護士、行政書士、税理士などが対応しますが、家族信託は比較的新しい分野のため、実績のある専門家を選ぶことが重要です。初回相談では、家族構成、財産状況、将来の不安や希望などをヒアリングし、家族信託が適しているかを判断します。
ステップ2:信託設計とスキーム検討
専門家が、家族の状況に合わせた信託スキームを提案します。誰を委託者・受託者・受益者にするか、どの財産を信託するか、信託の目的や期間、終了事由などを具体的に設計します。複数の家族が関わる場合は、全員が納得できるまで話し合いを重ねることが大切です。
ステップ3:信託契約書の作成
信託内容が固まったら、契約書を作成します。家族信託では、法的な効力を確実にするため、公正証書で作成するのが一般的です。公証役場で公証人の前で契約を結ぶことで、契約内容の真正性が担保されます。
ステップ4:信託口口座の開設
信託財産を管理するための専用口座を開設します。受託者名義ですが、信託財産であることが明示された口座です。金融機関によって手続きや必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
ステップ5:不動産の信託登記
不動産を信託する場合は、法務局で信託登記を行います。登記簿に「信託」である旨が記載され、受託者が登記名義人となります。登記には登録免許税がかかります。土地は固定資産税評価額の1,000分の3、建物は1,000分の4です。
ステップ6:信託開始と運用
すべての手続きが完了したら、信託が開始されます。受託者は、信託契約の内容に従って財産を管理・運用します。定期的に帳簿を作成し、受益者に報告する義務があります。近年は、信託事務をサポートするアプリやシステムも登場しており、受託者の負担軽減に役立っています。
大阪で家族信託にかかる費用|相場と内訳を詳しく解説
家族信託を始める際に気になるのが費用です。ここでは、大阪における費用相場を具体的に説明します。

専門家への報酬
家族信託のコンサルティングや契約書作成を依頼する専門家への報酬が最も大きな部分を占めます。報酬体系は、信託する財産の額に応じて決まることが多く、以下が一般的な相場です。
- 信託財産3,000万円未満:30万円〜50万円
- 信託財産3,000万円〜5,000万円:50万円〜70万円
- 信託財産5,000万円〜1億円:70万円〜100万円
- 信託財産1億円以上:100万円〜
大阪では、複数の専門家事務所が競合しているため、比較的リーズナブルな価格設定のところもあります。ただし、安さだけで選ぶのではなく、実績やサポート体制も重視しましょう。
公正証書作成費用
信託契約を公正証書にする場合、公証役場に支払う手数料が必要です。信託財産の額によって変動しますが、概ね5万円〜10万円程度です。
信託登記費用
不動産を信託する場合は、登録免許税と司法書士報酬がかかります。
登録免許税
- 土地:固定資産税評価額×0.3%
- 建物:固定資産税評価額×0.4%
司法書士報酬
- 不動産1筆あたり5万円〜10万円程度
例えば、固定資産税評価額2,000万円の自宅を信託する場合、登録免許税は約7万円、司法書士報酬を含めると15万円前後が目安です。
継続的なサポート費用
信託開始後も、専門家による継続サポートを受ける場合は、月額数千円〜2万円程度の費用が発生します。帳簿作成のサポートや、税務相談、受託者からの質問対応などが含まれます。
トータルコストの考え方
初期費用だけを見ると高く感じるかもしれませんが、成年後見制度では専門家が後見人になった場合、月2万円〜6万円の報酬が生涯続きます。10年間で240万円〜720万円にもなることを考えると、家族信託の費用は決して高くありません。
大阪で信頼できる家族信託の専門家を選ぶポイント
家族信託は長期にわたる関係になるため、専門家選びは非常に重要です。以下のポイントを参考に、慎重に選びましょう。

家族信託の実績が豊富か
家族信託は専門性の高い分野です。年間何件の家族信託を手がけているか、どのような事例に対応してきたかを確認しましょう。ホームページに実績や事例が掲載されているか、セミナーや勉強会を開催しているかも判断材料になります。
初回相談で丁寧にヒアリングしてくれるか
優れた専門家は、まず家族の状況や希望を丁寧に聞き取ります。いきなり契約を勧めたり、一方的に提案したりする専門家は避けるべきです。質問に対して分かりやすく答えてくれるか、メリットだけでなくデメリットも説明してくれるかも重要なポイントです。
複数の専門家と連携しているか
家族信託には、法律、税務、不動産など多岐にわたる知識が必要です。一人の専門家ですべてをカバーするのは難しいため、弁護士、税理士、不動産業者などと連携している事務所を選ぶと安心です。
アフターフォロー体制が整っているか
信託開始後も、受託者は様々な疑問や不安を抱えます。継続的なサポート体制があるか、定期的な面談やフォローアップがあるかを確認しましょう。最近では、信託事務を効率化するアプリやシステムを提供している事務所もあります。
大阪の地域事情に精通しているか
大阪には独自の地域性や商慣習があります。大阪の不動産市場や相続事情に詳しい専門家であれば、より実情に即した提案が期待できます。大阪市内にオフィスを構え、地域に根ざした活動をしている事務所は信頼性が高いと言えます。
費用が明確か
見積もりが明確で、追加費用の有無や条件がはっきりしているかを確認しましょう。後から予想外の費用を請求されないよう、契約前に総額を把握しておくことが大切です。
大阪で家族信託を相談できる場所とアクセス
大阪で家族信託を検討する際、相談できる専門家事務所は主に大阪市内の主要駅周辺に集中しています。
梅田・大阪駅周辺
大阪のビジネスの中心地である梅田エリアには、多くの司法書士事務所や行政書士事務所があります。JR大阪駅、阪急梅田駅、地下鉄梅田駅からアクセスしやすく、仕事帰りや買い物のついでに立ち寄れる利便性があります。
北区・西天満周辺
大阪地方裁判所や法務局がある西天満エリアには、法律専門家が多く集まっています。南森町駅や北浜駅から徒歩圏内で、落ち着いた雰囲気の中で相談できます。
淀屋橋・本町周辺
ビジネス街である淀屋橋や本町エリアにも、相続や家族信託に強い事務所が点在しています。地下鉄御堂筋線でアクセスしやすく、複数の事務所を比較検討する際にも便利です。
出張相談や訪問対応
高齢の親を連れて事務所に行くのが難しい場合、自宅への出張相談に対応している専門家もいます。大阪市内だけでなく、豊中市、吹田市、東大阪市、堺市など、大阪府全域に対応している事務所も多いです。
大阪の家族信託に関するよくある質問
家族信託は誰でも始められますか?
委託者に意思能力があれば、年齢に関係なく始められます。ただし、すでに認知症が進行している場合は、家族信託の契約を結ぶことはできません。早めの相談が重要です。
受託者は誰でもなれますか?
法律上は、未成年者や成年被後見人でない限り、誰でも受託者になれます。ただし、長期にわたって責任を果たせる人を選ぶべきです。一般的には、子や配偶者、甥姪などの親族が受託者となることが多いです。
信託する財産に制限はありますか?
現金、預貯金、不動産、株式など、ほとんどの財産を信託できます。ただし、農地は農地法の制約があり、信託できない場合があります。また、年金や生活保護などの社会保障給付は信託できません。
家族信託をした後、気が変わったら解約できますか?
委託者と受益者が同意すれば、信託契約を解除できます。また、信託契約に解除条項を盛り込んでおくことも可能です。状況が変わった場合に柔軟に対応できる設計にしておくことが大切です。
家族信託をすると相続税は増えますか?
家族信託自体で相続税が増えることはありません。信託財産も通常の財産と同様に、相続税の課税対象となります。ただし、信託の設計次第では相続税対策にもなります。詳しくは税理士に相談しましょう。
大阪で家族信託を始めるまでどのくらいかかりますか?
家族の状況や財産内容にもよりますが、初回相談から契約締結まで、スムーズに進めば2〜3ヶ月が目安です。複雑なケースや、家族間での調整に時間がかかる場合は、半年以上かかることもあります。
まとめ|大阪で家族信託を始めるなら今がそのとき
家族信託は、認知症による資産凍結を防ぎ、家族の未来を守る有効な手段です。本人が元気なうちに準備しておけば、いざというときに慌てることなく、スムーズに財産管理ができます。
大阪には、家族信託の実績が豊富な専門家が多く、相談しやすい環境が整っています。まずは信頼できる専門家に相談し、家族の状況に合った最適なプランを見つけることから始めましょう。
費用面での不安があるかもしれませんが、長期的に見れば成年後見制度よりもコストを抑えられるケースが多く、何より家族の意思を尊重した柔軟な財産管理が実現できます。

「まだ早い」と思わず、親が元気なうちに、家族で話し合う時間を持つことが大切です。大阪で家族信託を検討されている方は、まずは無料相談を活用して、一歩を踏み出してみてください。あなたとご家族の安心な未来のために、家族信託という選択肢を前向きに考えてみませんか。
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
-
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、年金総合診断士、家族信託専門士、相続対策コンサルタントを保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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