――相談現場で見えてくる「ちょうどいいタイミング」
相談で一番多い質問
「任意後見って、いつ作るのが正解なんですか?」
この質問、せと行政書士事務所では本当によく受けます。
そして正直に言うと、
「この年齢です」と一言で答えられる制度ではありません。
なぜなら任意後見は、
早すぎても失敗し、遅すぎても使えなくなる
とてもタイミングが難しい制度だからです。

遅すぎたケース(実際によくある)
ご家族からの相談で多いのが、
「もう少し早く来てくれていたら…」というケースです。
- 物忘れが増えてきた
- 病院では軽度認知症と言われた
- でも「まだ大丈夫」と様子を見ていた
その結果、
公証人が「契約内容を理解できていない」と判断し、
任意後見契約が結べなかったということは、現場では珍しくありません。
こうなると、選択肢は
👉 家庭裁判所が後見人を決める「法定後見」
しか残りません。
早すぎるケース
①財産状況の変化
契約時には想定していなかった不動産の取得や処分、事業承継など、
財産構成が大きく変わった場合、契約内容が実情に合わなくなる可能性があります。
👉 物の問題
②受任者・体制の“陳腐化”
- 受任者が高齢化・病気
- 家族関係の変化
- そもそも「この人で良かったのか」が見直しづらくなる
👉 人の問題
③ 発動までの空白期間が長すぎる問題
任意後見だけを早期に作ってしまうと、
判断能力が低下するまでの期間について、
・日常的な見守り
・緊急時の連絡先
・死亡時の事務手続き
が何も決まっていない状態になることがあります。
実務では、この「空白期間」がトラブルの原因になるケースが少なくありません。
👉 制度が“眠ったまま”になるリスク。
現場で感じる“ちょうどいい時期”
実務の感覚として多いのは、50代後半~70代前半です。
- 判断能力は十分ある
- 老後や介護を現実的に考え始める
- 親の介護を経験している
このタイミングだと、
「まだ早い」と「もう遅い」の間で、
冷静な判断がしやすいと感じます。
任意後見は「単体」で考えない
せと行政書士事務所では、
任意後見だけを単独で勧めることはほとんどありません。
- 財産管理委任
- 任意後見
- 遺言
- 死後事務
これらをどう組み合わせるかで、
「今」と「将来」の安心度は大きく変わります。
まとめ
任意後見は、
- 遅すぎると契約できない
- 早すぎると形だけになる
だからこそ、
「元気なうち」でも
「何も考えなくていい時期」ではない
その中間を見極めることが大切です。
「うちはもう考えた方がいいのかな?」
そう思った時が、実は一番いい相談タイミングかもしれません。
なお、任意後見制度について
「法律上どのような仕組みなのか」
「なぜそのような設計になっているのか」といった点を、
専門的・制度整理の視点から体系的にまとめたコラムもご用意しています。
実務の話だけでなく、制度そのものをきちんと理解したい方は、
あわせて専門家プロファイル版のコラムもご覧ください。
せと行政書士事務所(大阪市北区)
TEL:06-4400-3365
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
-
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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