「老後2000万円問題」をデータで冷静に考える
「老後2000万円問題」という言葉を聞いて、老後のお金に不安を感じた方は多いのではないでしょうか。
本当に、老後には2000万円もの資金が必要なのでしょうか。
厚生労働省が公表している最新データをもとに、現実的な老後資金の姿を整理してみましょう。

老後の収入の中心は公的年金
老後の収入の柱となるのは、公的年金です。
2024年度の年金額を見ると、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額約6万8,000円です。自営業や専業主婦など、国民年金のみの場合は、これが老後収入の基本となります。
一方、会社員として長く働いてきた方は、国民年金に加えて厚生年金を受け取ります。平均的な厚生年金の受給額は、基礎年金を含めて月額約14万5,000円です。
さらに、夫が会社員、妻が専業主婦という標準的な夫婦世帯では、夫婦2人分の年金で月額約22万6,000円が目安とされています。
高齢者世帯の収入と生活実感
では、実際の高齢者世帯の暮らしはどうでしょうか。
厚生労働省の調査によると、高齢者世帯の平均所得は年額約315万円で、その6割以上が公的年金によるものです。
さらに、約4割の高齢者世帯は年金以外の収入がないという結果も出ています。多くの世帯が、年金を中心に生活しているのが現実です。
その一方で、高齢者世帯の**55.8%が「生活が苦しい」**と感じています。
年金があっても、物価上昇や医療費、住居の維持費などの負担により、安心できる生活とは言い切れない状況がうかがえます。
年金だけで足りるのか
厚生労働省は、年金の水準を示す指標として「所得代替率」を公表しています。
これは、現役時代の手取り収入に対して、年金がどの程度の割合になるかを示すものです。
2024年度の所得代替率は約61%。
現役時代に手取り月37万円だった人が、老後は夫婦で約22万6,000円の年金を受け取る、というイメージです。
ただし、この割合は将来、5割台まで低下すると見込まれています。
老後資金を考えるポイント
老後に必要な資金は、人それぞれ異なります。考え方はシンプルです。
まず、自分が将来どれくらいの年金を受け取れるのかを把握すること。
次に、老後の生活費を見積もります。平均的には、夫婦世帯で月25〜28万円、単身世帯で月15万円前後が目安とされています。
年金収入と生活費の差額が、毎月不足する金額です。
その不足分を何年分補う必要があるのかを考え、医療費や介護費、趣味や旅行などの「ゆとり費用」を加えることで、必要な老後資金が見えてきます。

まとめ 〜せと行政書士事務所より〜
老後資金の不安は、「いくらあれば足りるのか」という金額だけの問題ではありません。
年金、貯蓄、保険、不動産、相続をどう整理するかによって、不安の大きさは大きく変わります。
数字を正しく知り、将来のお金の流れを見通せる状態をつくることが、安心への第一歩です。
せと行政書士事務所では、相続・遺言・後見といった法的な備えだけでなく、老後のお金の流れを分かりやすく整理し、「今、何をしておくべきか」を一緒に考えるお手伝いをしています。
「まだ先の話」と思える今こそ、実は一番準備がしやすい時期です。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
せと行政書士事務所
TEL:06-4400-3365
投稿者プロフィール

- 資産トータルアドバイザー
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せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、年金総合診断士、家族信託専門士、相続対策コンサルタントを保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。
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