――全部入れれば安心、ではありません

「家族信託って、財産は全部入れた方がいいんですよね?」

相談の現場で、よく聞かれる質問です。
ですが結論から言うと、全部を信託に入れるのはおすすめできません。

家族信託には、

  • そもそも入れられないもの
  • 入れても意味がないもの
  • 入れ方を間違えると危険なもの

が、はっきり存在します。


家族信託は「何でも入れられる制度」ではありません

家族信託は、
「財産を誰が・どう管理するか」を決める仕組みです。

そのため、

  • 法律で守られている権利
  • お金ではない判断(医療・介護など)
  • マイナスの財産(借金)

こうしたものは、信託の仕組みと合わない場合があります。


① 年金や生活保護など「受給する権利」は入れられません

国の制度で支給される年金や生活保護は、
本人を守るために、他人へ渡せない権利になっています。

つまり、
「年金の受給権そのもの」を
家族信託に入れることはできません。

実務ではどうする?

✔ 受給権はそのまま
振り込まれた後のお金を、どう管理するかを考えます


② 医療や介護の判断は、信託ではできません

「将来、施設に入るときも信託で対応できる?」
これもよくある誤解です。

結論は できません

家族信託には、

  • 医療の同意
  • 施設入所の契約

といった身の回りの判断をする権限はありません。

👉 こうした場面では
任意後見など、別の制度が必要になります。


③ 借金そのものは、信託に入れられません

信託に入れられるのは、
プラスの財産(不動産・預金など)だけです。

ローンや借金そのものを
信託に入れて「なかったこと」にすることはできません。

特に、

  • ローン付き不動産

は、設計を誤るとトラブルになりやすいポイントです。


④ 預金は「入れ方」を間違えると危険です

預金は信託に入れることができます。
ただし、やり方を間違えると非常に危険です。

例えば、

  • 受託者の個人口座と混ざってしまう
  • 第三者から「その人のお金」と誤解される

こうなると、
差押えや管理トラブルにつながることがあります。

👉 信託専用の口座で分けて管理できないなら、無理に入れない
という判断も大切です。


⑤ 「節税になるはず」という理由だけで入れるのはNG

家族信託は、
節税のための制度ではありません。

「信託に入れたら税金が安くなると思っていた」
という相談は、実際とても多いです。

結果として、

  • 思ったほど税金は下がらない
  • 家族の不満や誤解が生まれる

こうしたケースも少なくありません。


⑥(最重要)一番大切なのは「誰が管理するか」

最後に、いちばん大切なポイントです。

問題は、
資産の種類ではありません。

その資産を、

  • 本当に管理できる人か
  • 責任を持ち続けられる人か

ここが合っていないと、
どんな財産でもトラブルになります。


専門家としてお伝えしたいこと

家族信託は、
「全部入れる制度」ではありません。

入れない判断を含めて設計する制度です。

信託・後見・遺言・不動産の扱いを
まとめて考えることで、
はじめて「家族が困らない形」になります。


まとめ|家族信託に入れない方がいい典型例

  • 年金や生活保護などの受給権
  • 医療・介護の判断が必要なこと
  • 借金そのもの
  • 管理方法が決まっていない預金
  • 節税目的だけの資産
  • 管理する人が対応できない資産

せと行政書士事務所ができること

家族信託を「制度の説明」で終わらせず、
実際に困らない形まで落とし込む設計を行っています。

「うちは信託を使うべきか?」
「何を入れて、何を入れないべきか?」

そんな整理から、お気軽にご相談ください。

せと行政書士事務所
TEL:06-4400-3365

投稿者プロフィール

瀬戸 孝之
瀬戸 孝之資産トータルアドバイザー
せと行政書士事務所、代表。
行政書士、CFP、FP 1級技能士、宅地建物取引士、家族信託専門士、一種外務員を保有。シニア世代の悩みをワンストップで解決する事務所として、FP、不動産売買、終活、相続対策など、トータルサポートを提供している。